電話しようよ
ちょっと空が暗くなり始めた春の夕方が大好きだ。
講義を受けながら窓の外を見て、そう思った。
青春と呼んで良いのかは分からないけど、僕が今よりも青臭かった頃を思い出した。
ちょうど2年前のこの時期、高校3年だった僕は文化祭の準備に明け暮れていた。
放送部の仕事をやりつつ(ほとんど後輩に任せっきりだったが)、フリーステージでのMCのネタを仕込んでいた。
大勢の前で面白いことが出来る。
結果大スベリを喰らうという結末を知る由もなく僕は大爆笑をかっさらうイメージだけを脳裏に浮かべていた。
相方とチャリでニケツして小道具を買いに行った。
スケジュールがパンパンで忙しかった。
多忙な1日を終えて駅までの道を歩く時間が大好きだった。
仲のいい友達と作業の合間におしゃべりしたことも、思い出すと苦しくなった。
楽しかった。
本当に楽しかった。
好きな子に話しかけられない。昔から変わってない。
講義終了のチャイムが鳴った。
この夏は久々に地元に帰ろう。